こんにちはロウシです。
ロシアの大文豪ドストエフスキーの中でも変わった作品の「悪霊」。
そして私が一番ドストエフスキーの作品の中で気に入っている作品。
今回はそんなドストエフスキーの「悪霊」をわかりやすく紹介と解説をします。
今回の記事を読んででわかることはこういったことです。
- ドストエフスキーとはどういった人物か
- 「悪霊」のあらすじ
- 「悪霊」の登場人物
- 「悪霊」の魅力
この記事の要点が知りたい方は目次からまとめへ飛んでください
ドストエフスキーとは
wikipediaより引用
フョードル・ドストエフスキー(1821~1881)はロシアの文豪です。
ロシアを代表する世界的巨匠でレフ・トルストイやイワン・ツルゲーネフと並び称されています。
彼の主な著作は「罪と罰」、「カラマーゾフの兄弟」、「悪霊」、「白痴」、「未成年」などがあります。
ドストエフスキーの著作は世界中に読まれていて170以上の言語に翻訳されています。
ドストエフスキーの著作はさまざまな人間に影響を与えました。
例えば哲学者ならフリードリヒ・ニーチェ、ジョン=ポール・サルトルなどに影響を与えています。
特にニーチェはすごく影響を受けています。ニーチェの著作の一つが今回紹介する「悪霊」に影響を受けていたそうです。
またあの「論理哲学論考」で有名な大天才ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタインはドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」を50回以上読んだという逸話があります。
夏目漱石も影響を受けていたという話もあります。
それほどの巨匠の人生はどんなものだったのでしょうか。
彼は1821年にモスクワに生まれました。
彼には兄が一人、妹が二人、弟が二人いました。
彼は母が読み書きに使っていた「旧約聖書」や「新約聖書」、シラーの「群盗」に感銘を受けました。
1839年に父が領地の人間に惨殺されました。
1849年処女作「貧しき人々」が絶賛され華々しく作家デビューを果たします。
デビューは良かったですがその後に発表された「白夜」や「二重人格」は酷評されます。
その後、空想的社会主義サークルの一員になったため、1849年に逮捕されます。
死刑判決を受けますが死刑の執行直前に皇帝から特赦を受け、シベリアへ流刑に減刑されます。
1854年まで服役します。
このとき持病の癲癇(てんかん)が悪化しました。
出獄すると「死の家の記録」などで復帰します。
その後「地下室の手記」を皮切りに「罪と罰」「白痴」「悪霊」「未成年」「カラマーゾフの兄弟」等、
「現代の預言書」と呼ばれた文学を創造しました。
そして1881年にその生涯に幕をとじました。
これがドストエフスキーの生涯です。
次は「悪霊」の話です。
「悪霊」とは
ドストエフスキーの「悪霊」はドストエフスキーの後期五大長編の中で三番目に書かれた作品です。
そして私が一番好きな作品です。
このドストエフスキーの「悪霊」はとにかく狂った人がでてきます。
登場人物全てが頭のおかしい人です。
まあそれがこの「悪霊」のおもしろさだと思います。
本当に狂気という言葉がこれほど似合う登場人物がいるかと言うぐらいたくさんイカレた奴が出てきます。
でも私が思うのは全ての人が気が狂っていたら誰も気が狂っていることにはならないそういうことをドストエフスキーは伝えたかったのだと思います。
皆さんが「悪霊」をわかりやすく読むために、主要な登場人物を書いておきます。ここにのっている人物さえ覚えておけば「悪霊」を読む事ができると思います。
ただし名前は正式名称ではありません。
ピョートル・ステパノヴィチ・・・ステパンの息子。文学サークルを装った革命組織を作り、スタヴローギンをその中心に祭り上げようと画策する。
キリーロフ・・・建築技師。スタヴローギンの影響によって「神の意志に従わず我意を完全に貫いたとき、神が存在しないこと、自分が神となることが証明される。完全な我意とは、自殺である」という独特の人神思想を持つ。ピョートルの策略に協力する。
シャートフ・・・スタヴローギンの信奉者。ピョートルに利用される。
ワルワーラ夫人・・・スタヴローギンの母。裕福な地主。未亡人。
マリヤ・・・脚の悪い女性。後にスタヴローギンと極秘結婚していたことが明らかにされる。
リプーチン・・・ピョートルのサークルの最古参。
ヴィルギンスキー・・・役人。ピョートルのサークルの一員。
シガリョフ・・・独自のユートピア思想を持っていて。ピョートルのサークルの一員。
リャムシン・・・ユダヤ人。ピアノの名手。ピョートルのサークルの一員。
トルカチェンコ・・・傲慢な性格。ピョートルのサークルの一員。
これらの登場人物を意識して読めば大体の事は理解できると思います。
この「悪霊」のあらすじをすこし紹介します。
あらすじはこんな感じです。
「悪霊」は結構ハードなストーリーです。
でもかなりおもしろいです。
この「悪霊」のテーマはズバリ「無神論」です。
「無神論」って何?と思った方に説明しておくと、「無神論」というのは神は存在しないと考える思想の事です。
少し遅くなりましたがここでタイトルの「悪霊」の意味を解説しておきます。
「悪霊」というタイトルの意味は「無神論的革命思想」という意味です。
はっ?どういう事と思うのは当たり前です。
ですがこのタイトルの真の意味を理解するにはこの物語が何を表しているか理解する必要があります。
この作品が何を表しているかというと、
無神論的革命思想という名の「悪霊」にとりつかれた人々の破滅を実在の事件を元に描いた作品。
これでタイトルの意味がわかったかと思います。
つまりこの「悪霊」という物語は革命思想という悪霊にとりつかれた若者達が破滅していくまでの物語ということです。
さっきいった通りこの物語は破滅を描いています。
だから狂気に満ちているし恐ろしいのです。
でもその破滅の課程に様々な哲学的な話題が組み込まれていて面白いのです。
例えば、生きる意味や政治、国家そして「カラマーゾフの兄弟」でも問題にされていた無神論。
そんないろいろなテーマがすごく密接にそして緻密に組み込まれているのはやはりドストエフスキーはさすがだとおもいます。
ただ小説の完成度では「カラマーゾフの兄弟」より全然下だと思います。
私はドストエフスキーの最高傑作は「カラマーゾフの兄弟」だと思います。
しかし個人的に一番好きなのは「悪霊」です。
この狂ったような日々を見事に描いている「悪霊」はすごく自分と親近感がわきました。
自分と同じような事を考えているキャラクターが何人かいてすごく読んでいて楽しかったです。
ただ読みにくいです。
なぜなら、これは僕の感想ですが、ドストエフスキーは狂気を演出するために無茶苦茶な時系列で物語りを進ませたのだと思います。
次は「悪霊」を読む事で得られることを書いておきます。
「悪霊」で学べる事
「悪霊」を読む事でなにが学べて何が変わるのか。
今から紹介する学べる事はあくまで私のことです。
当然のことですがここに書いてあること以外でも学ぶことはあると思います。
私はこの本を読んで無神論についての考え方が変わりました。
無神論と何かを学べる
最初に無神論について学べます。
これはさきほどの解説を読んだ人ならわかると思いますが、「悪霊」は無神論がテーマです。
だから無神論についてかなり深く学ぶ事ができます。
私も「カラマーゾフの兄弟」や今回紹介している「悪霊」を読むまでは無神論について全然知りませんでした。
この「悪霊」を読むと昔のヨーロッパの人々にとってどれほどキリスト教が大切だったかを感じられます。
日本人の人からすると無神論がそんなに深刻ではないかもしれませんが、ヨーロッパの人たちにとってはそれこそ死活問題だったのだと思います。
そんな無神論がどれほど恐ろしいものかなどもこの「悪霊」で学べます。
狂気とは何かを学べる
次に狂気とは何かについて学べます。
さきほど紹介した通り、「悪霊」の登場人物は全員頭がおかしいです。
だから狂気についてものすごく学べます。
そりゃ当たり前でしょと思うでしょうが、狂気をこれほど上手いこと描いたのは私が知っている限りこの「悪霊」だけだと思います。
ただ狂気に満ちている作品なので結構話についていけないです。
人間の普遍的な苦しみを知れる
次に人間の普遍的な苦しみや悩みを知れます。
この「悪霊」の主人公は人間の普遍的な苦しみにさいなまれている人だと思います。
だから、人間の普遍的な苦しみを知ることができます。
たとえば、神を信じれない苦しみや、生きていてなにもないという虚無感などです。
私もそういう虚無感があるので、主人公にはすごく共感できます。
あのニーチェがこの「悪霊」に影響を受けていた理由も読めばすごく納得します。
生きる意味なんて追い求める意味がないと知れる
最後に生きる意味なんて追い求めたって何の意味もないと知れます。
なぜそんな事を知れるのかというと、主人公の最後が悲惨だからです。
私の主観ですが、主人公はおそらく生きる意味を追い求めていたと思います。
でも結局そんなものを追い求めても意味はないと絶望したと思います。
生きる意味とは何かとか考えているひとがいますけどそんなものに答えはないし何の意味もないと思います。
「悪霊」がおすすめの人
「悪霊」を読んだら楽しめる人はこういう人たちです。
- ドストエフスキーのすごさを知りたい人
- なぜ人間は罪を犯すのか知りたい人
- 十九世紀ロシアの民衆を知りたい人
- 世界的な文豪の作品が気になる人
- 哲学が好きな人
- 善や悪について知りたい人
- 教養の幅を広げたい人
- 神とはなにか考えたい人
これらに当てはまる人は絶対に読んで損はしないと思います。
「悪霊」がおすすめじゃない人
「悪霊」がおすすめじゃない人も一応書いておきます。
- ドストエフスキーに興味がない人
- 文学や哲学に興味がない人
- ロシアに興味がない人
- サスペンスに興味がない人
- 神はいるのかいないのか?に興味がない人
ここにあてはまる人はおそらく読んでも楽しめません。
「悪霊」を読んだ感想
「悪霊」を読んだ感想を一言で表すと、
これが感想です。
とくに大審問官の章は本当におもしろかったです。
「悪霊」まとめ
- ドストエフスキーはロシアの文豪
- 「悪霊」はドストエフスキーの後期五大長編の三つめの作品
- 「悪霊」はドストエフスキーの異作
- 「悪霊」は革命組織の話
- 「悪霊」は登場人物が頭はいいけど狂っている
- 「悪霊」は小説として読みにくい
- 「悪霊」は実際の事件が元になって作られている
今回は「悪霊」についての記事でした。
ご興味があればぜひご一読ください。