こんにちはロウシです。
今回は国家の正当な原理とは何かを追求したルソー「社会契約論」の解説です。
民主主義につながっていく話ですのでぜひ読んでみてください。
これから「社会契約論」を読む人の参考になれば幸いです。
今回の記事を読んででわかることはこういったことです。
- ルソーとはどういった人物か
- 「社会契約論」の内容
- ルソーにとっての正当な国家原理とは何か
- ルソーにとって正当な国家とは
- 人々が国家を作る理由
この記事の要点が知りたい方は目次からまとめへ飛んでください
ルソーとは
wikipediaより引用
ジャン=ジャック・ルソー(1712~1778)はフランスの哲学者です。
彼の主な著作は、「社会契約論」、「エミール」、「人間不平等起源論」などです。
彼は様々な人間に影響を与えました。
例えば、東洋のルソーとして知られる中江兆民や哲学者のカントなどです。
彼はフランス革命などにも影響を与えたようです。
彼の人生はどのようなものだったのでしょうか。
彼は1712年スイスのジュネーヴで生まれました。
生後まもなくして母が亡くなりました。
その後十歳の時に時計職人の父が蒸発し孤児になってしまいます。
十三歳のときに奉公に出されますが、虐待を受け脱走します。
生活環境は最悪でしたが彼は読書する習慣は続けていたそうです。
十五歳のとき夫をなくした夫人のところで世話をしてもらい、独学で哲学などを学びました。
彼は三十八歳のときに懸賞論文として書いた「学問芸術論」が見事受賞。
五十歳の時に「社会契約論」や「エミール」を出版しました。
その後危険思想の持ち主として追われる身になり逃亡の末、貧困と孤独のまま生涯を終えました。
ルソー「社会契約論」とは
「社会契約論」は1762年にフランスで公刊された政治哲学の本です。
「社会契約論」が何を目的に書かれたかを解説します。
「社会契約論」の目的は、
という問いに答えを見つけることです。
結論から言うと答えは社会契約と一般意志です。
内容の解説に入るまえに「人間不平等起源論」について知っていた方が良いので差し支えなければ私が前に解説した記事を参照してみてください。
それでは内容の解説に入っていきます。
社会契約とは
社会契約とは自由で平等な社会の原理だとルソーは言います。
いったいどんな原理の社会なら各人の自由と平等が維持できるのでしょうか。
それが社会契約です。
我々、人民は社会契約を結ぶことで自由を自分達から取り上げ、力や権力で何かを獲得できる権利を相互的に制限します。
どういうことかというと、全ての人がもし完全に自由で何をしても良かった結果的にお互いの自由がなくなります。
なぜなら、仮に人の物をぬすんでよかったら盗まれた人の所有権が保障できません。
だからそういう事を防ぐために人民は社会契約を結び互いの自由を相互的に制限し逆に自由を保障するのです。
この社会契約によって、人々は自由や平等、所有権を獲得するのです。
社会契約は人々の間に相互の平等をもたらします。
そういう意味で社会契約に基づく国家は能力差を認め平等ということです。
一般意志とは
一般意志とは国家の正当性の基準です。
一般意志とは、個人の意志でもなければ、国王や政府の意志でもありません。
それらを全て集合させたものでもありません。
一般意志とは人民が公平な関係のうちで、国家を作った目的である公共の幸福(自由と平等を両立させた社会)を目指すような意志です。
ではなぜ一般意志が国家の正当性の基準なのでしょうか。
それは公共の幸福を求めるからです。
ここで勘違いしないでほしいのが何もルソーはファシズムを説いているわけではありません。
あくまで自由と平等を両立させた社会を目指しているかが重要のなのです。
政府は一般意志を反映している限りは正当なのです。
つまり政府が一般意志を反映しなくなった時点で政府に正当性はないということです。
そしてこの一般意志の行使が主権なのです。
市民感覚が主権の根拠
ルソーは国民主権を考えたことで有名ですがここはすこし注意して考えないといけません。
じつはルソーは人は生まれながら主権を持っているわけではないと考えていました。
市民としての役割を守っている人間は主権を持っていますがそれを怠った人間は主権を持っていません。
どういうことかというと、市民は政府が一般意志をしっかりと反映した政策をしているかをチェックする必要性があります。
しかし、それを怠った市民はもはや市民としての義務を果たせていません。
だから市民としての役割を担っていない人に主権はないのです。
もし市民が政府が一般意志をしっかりと表明しているかを監視することを怠れば、人びとはもはや主権をもたず、市民ではなくなってしまいます。
ルソーが市民が公共の仕事を怠っている国を滅亡寸前だと考えるのはこのためです。
正当な国家とは
ルソーは正当な国家は法治国家だとします。
なぜなら法律は社会を対象にしていて公共の幸福を守るために存在しているからです。
何度も言いますが公共の幸福はファシズムのようなものとは全然違います。
自由と平等を両立させた社会を目指すことを公共の幸福と言います。
話を戻すします。
公共の幸福を守るための法律は正当です。
だからこそ、一般意志に基づいていない法律を施行したりするのは正当ではありません。
人民を抑圧的に扱う法律は本質的な法律からかけ離れているのです。
政府は主権者の代弁者
ルソーは政府は主権者の代弁者で、主権の公僕だとします。
ここで注意しないといけないのは一般意志に基づく政府は主権者の代弁者です。
ですが、一般意志に基づいていない政府は主権者の代弁者ではありません。
もう一つ注意しないといけないことがあります。
それは政府自体は一般意志ではありません。
よく混同されがちですが政府と一般意志は別物です。
あと政府と主権者も混同されがちですが別物です。
そして一般意志を反映している政府のみが統治する権利があるとルソーは言います。
一般意志を反映していない政府が統治するのは不当だといいます。
投票について
ルソーは投票は一般意志を表明すると言います。
そして市民は投票をする義務があると言います。
政府が提案した法律が一般意志を表明しているかを確かめるのが市民の役割です。
これは私の憶測ですが、投票をすることが一般意志の表明だとすると、選挙に行っていない人間は主権を持っていないとルソーは考えていたのではないかと思います。
よくルソーはファシストと誤解されがちですが全然違います。
おそらくルソーをファシストだと思うのは読み間違えか勘違いだと思います。
ルソー「社会契約論」を読んで学べる事
ルソー「社会契約論」を読んでいったい何が学べるのでしょうか。
今から私が学んだ事を書いていきます。
これから「社会契約論」を読む人の参考になれば幸いです。
社会契約とは何かを学べる
まず最初に社会契約とは何かを学べます。
自分も最初は社会契約とは何かを知りませんでした。
しかし社会契約論を読んではじめてそれを知りました。
社会契約は現在の民主主義で重要な考えなので知るべきです。
一般意志とは何かを学べる
次に一般意志とは何かを学べます。
一般意志?と思うはずです。
ルソーにとっての一般意志とは自由と平等を両立した社会を求める意志みたいなものだと思います。
これを学ぶのはけっこう難しく教科書的な説明じゃ書いていません。
ですが実際の著作を読むとなんとなくわかります。
正当な国家とは何かを学べる
次に正当な国家とは何かを学べます。
私は昔からどういった国家が一番良いか考えてきました。
その思惟にある種新しい考えが芽生えました(社会契約論を読む事によって)。
「社会契約論」を読むと国家とは何かなどについてかなり知見が広がります。
「社会契約論」がおすすめの人
「社会契約論」はこういった人たちにおすすめです。
- ルソーに興味がある人
- 社会契約に興味がある人
- 政府や国家について知りたい人
- 政治哲学についてしりたいひと
- 民主主義について知りたい人
ここに当てはまった人なら「社会契約論」を楽しく読めると思います。
「社会契約論」がおすすめではない人
「社会契約論」がおすすめではないのはこういった人たちです。
- ルソーに興味がない
- 政治に興味がない
- 政治哲学に興味がない
ここに当てはまった人間はおそらく読んでも楽しめないと思います。
「社会契約論」を読んだ感想
「社会契約論」を読んだ感想を一言であらわすと、
これが感想です。
もともと知っていたことへの考えも変わります。
ぜひ読んでみてください。
まとめ
- ルソーはフランスの哲学者
- 「社会契約論」は正当な社会の原理とは何かを探求した本
- 社会契約を結ぶことで人間は自由と平等を取り戻す
- 一般意志を反映していない政府は不当
- 一般意志は多数派の意志ではない
- 政府の正当性の基準
- 市民は投票する必要性がある
今回は「社会契約論」についての記事でした。
ご興味があればぜひご一読ください。