今回は哲学好きの私が面白いパラドックスを4つ紹介します。
パラドックスとは正しそうに見える前提と、妥当に見える推論から、受け入れがたい結論が得られる事です。
パラドックスを考えることは楽しいです。
パラドックスはいろいろな種類があります。
物理学のパラドックスもあれば、倫理のパラドックスなどもあります。
今回はそんなたくさんあるパラドックスの中から特に面白いと思ったものを5つ紹介します。
パラドックスはあくまで仮定の話です。現実と混ぜすぎないように気をつけてください。
それでははじめます。
タイムパラドックス
Aさんが親を殺すことは可能でしょうか?
このパラドックスは有名なパラドックスです。
すこし複雑ですがついてきてください。
まず仮にAさんがタイムマシンで親を殺したとします。
この時点で矛盾が出てきてしまいます。
なぜなら親が死んでいればAさんはそもそも生まれてきません。
生まれていなければ親を憎むこともありません。
親を憎むことがなければ殺すことはありません。
親を殺さなければAさんは生きています。
ここに大きなパラドックスがあります。
つまり自分の親を殺すと因果がおかしくなってしまいます。
過去に戻って親を殺すのは自分の誕生を否定する行為です。
自分の誕生を否定することは自分の行動を全て無にします。
そして無になれば親は死にません。
このようにタイムマシンをつかうとずっとぐるぐるしてしまうのです。
このタイムパラドックスで分かるのはタイムマシンは不可能ということです。
なぜなら過去に戻るということは因果をひていするからです。
抜き打ち試験のパラドックス
ですがAさんは考えました。
もしテストが金曜日だと抜き打ちテストになりません。
そう考えると木曜も同じ事だし、何曜日でも同じ事になってしまいます。
テストは抜き打ちで行えるのでしょうか。
問題をもう一度吟味してみましょう。
来週の月曜日~金曜日のあいだのいずれかの日に抜き打ち試験が行われます。
Aさんはこう考えました。
まず金曜日に抜き打ちテストがある場合、木曜日の夜の時点で金曜日にテストがあると分かってしまう。
だから金曜日にテストはできない。
同じように考えていくと、木曜日も、水曜日も、火曜日も、月曜日もテストができない。
だから抜き打ちテストはできない。
そう考えて、Aさんは勉強を一切しませんでした。
Aさんの予想(抜き打ちテストはできない)は正しいのでしょうか。
答えは正しくないです。
なぜならAさんはテストはないと決めつけています。
だからいきなりテストをすれば、抜き打ちになります。
とんちになってしまいましたがこれが事実です。
テストはないと決めつけた時点で抜き打ちテストが可能になったのです。
ヘンペルのカラス
これは実はすごく簡単です。
全ての黒くないものがカラスではない事を証明すればいいのです。
つまり、林檎は赤だからカラスではない、バナナは黄色いからカラスじゃない、海・・・・のように無限にしらみつぶしにすればいいのです。
ですがこれでは永遠に証明できません。
これでは意味のある証明方法とは言えません。
ほかにもこの証明方法には問題があります。
それはカラスは黒いという前提が間違っている可能性があるからです。
黒色以外のカラスがいた時点でこの証明はつかえません。
実際に白いカラスは見つかっています。
科学の世界では一つでも反例があると理論が成り立たなくなります。
いくらヘンペルのカラスのような証明をくり返してもいずれ反例が見つかって証明が不可能です。
嘘つきのパラドックス
この問題は自己言及のパラドックスとも呼ばれています。
「私は嘘つきである。」とAさんが言った場合がAさんがウソをつかない人だった場合、「私は嘘つきである」が適用されてAさんは嘘つきになってしまいます。
「私は嘘つきである。」とAさんが言った場合がAさんがウソつきだった場合、「私は嘘つきである」が適用されてAさんは本当の事を言っていることになってしまいます。
このように「私は嘘つきである。」という命題はどんな人が言っても矛盾してしまいます。
だからこの命題に意味はないのです。